【新型コロナウイルスワクチン】ジョンソンエンドジョンソン(J&J)ワクチン緊急許可 初の1回接種ワクチン

薬学

米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した、1回の接種だけですむ新型コロナウイルス感染症のワクチンに緊急使用許可を出しました。

FDAが出している記事はこちらになります。
FDA Issues Emergency Use Authorization for Third COVID-19 Vaccine | FDA

米国では、すでにモデルナ、ファイザーの新型コロナウイルス感染症のワクチンが認可されているため、これで3番目のワクチンとなります。

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J&Jワクチンの特徴

肯定ペンギン
肯定ペンギン

今まで認可されている2種類のワクチンとどこが違うの?

Maclo
Maclo

J&Jワクチンの特徴や、今までのワクチンとの違いを見ていきましょう。

今回のJ&Jから出されたワクチンの主な特徴は下記となります。

① 1回の接種で完了する
② 通常の冷蔵庫(2度から8度)で3か月保管できる
③ 中等症~重症の発症予防効果は66%、重症化の予防効果は85%
これらは、J&Jの下記HPを参考にしております。

それでは、その特徴を1つずつ見ていきましょう。

① 1回の接種で完了する

ファイザー・モデルナ:3週間ないし4週間の間隔を開けた2回の接種
J&J:1回の接種

今までに承認されていたファイザー/ビオンテックとモデルナのワクチンは、3週間ないし4週間の間隔を開けた2回の接種が必要でした。

それと比較し、J&Jのワクチンは1回の接種で完了することができるというメリットがあります。

これは、初期の安全性試験により、1回の接種で長期間持続する免役応答をもたらしたことが明らかになったことによります。

中和抗体が産生された被験者は、ワクチン接種後29日以内で90%超、57日以内で100%に達しております。
また、免疫応答は試験の対象期間が終わるまでの71日間にわたって持続しました。

 1回の接種で済む同社製ワクチンは、他の先発組が開発した2回接種のワクチンの1回分に比べ産生される中和抗体が多い。ただ、競合製品の免疫応答は2回接種を終えた時点でJ&Jの1回接種のワクチンと同程度だ。

J&Jのポール・ストッフェルス最高科学責任者(CSO)の説明より

このような理由により、J&Jのワクチンは1回の接種で済むことが言え、接種のペースを加速させることが出来ると考えられる点が大きなメリットとなります。

② 通常の冷蔵庫(2度から8度)で3か月保管できる

ファイザー:-75度の冷凍庫
モデルナ :-20度の冷凍庫
J&J   :2~8度の冷蔵庫

ファイザー及びモデルナの新型コロナワクチンは、それぞれ-75度、-20度の冷凍庫での保管が必要となっております。

それに対し、J&Jの新型コロナワクチンは-4°F(-20°C)で2年間安定し、36-46°F(2〜8°C)の温度で定時冷凍で最大3ヶ月間安定していると推定されています。

これは、ファイザー及びモデルナのワクチンが「mRNA」と呼ばれる種類のワクチンであることに起因しております。
mRNA自体はとても不安定な構造で、遺伝子の構造が破壊されやすく、安定性を確保するためにこのような保管温度が必要となっております。

これに対し、J&Jのワクチンは「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるワクチンです。
ヒトに対して病原性のない、または弱毒性のウイルスをベクター(運び屋)として利用し、体内に入れる仕組みです。利点として、抗原タンパク質発現の安定性等が挙げられます。

この保管温度の違いは、流通や各医療機関での保管方法に大きく影響を与えるため、大きなメリットになると思います。

③ 中等症~重症の発症予防効果は66%、重症化の予防効果は85%

ファイザー及びモデルナ:予防効果約95%
J&J:予防効果約66%

新興ウイルス変異株への感染例を含むさまざまな地域の被験者で、本ワクチン候補による接種後28日以降の中等症から重症のCOVID-19感染症の予防効果は、全体で66%でした。またその予防効果は、接種後14日という早い段階で確認されました。中等症から重症のCOVID-19感染症の予防率は、ワクチン接種後28日以降で、米国で72%、ラテンアメリカで66%、南アフリカで57%でした。

2021年2月1日プレスリリース | ジョンソン・エンド・ジョンソン (jnj.co.jp)より

J&Jのワクチンの予防効果は臨床試験の結果より66%と発表されています。

値が他の2社と比較し低い理由としては、J&Jの治験は実施時期が遅れたため、感染力の強い複数の変異株が広がっている地域から相当数の被験者が参加しており、有効性を見る条件が厳しくなった可能性もあるとされています。

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まとめ

J&J社から出された今回の新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは、流通や保管の面から大きくメリットがあるものであるように思います。

日本国内でも、治験が始まっていることが加藤官房長官より明らかにされております。
日本でも承認される日が早く来ることを願っております。

今回まとめた情報がみなさまの参考になりましたら幸いです。

それではまた!

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