新型コロナ感染症が流行し、換気の重要性が叫ばれているかと思います。
街を走る電車やバスなどの公共交通機関では、暖房をつけていても窓を少し開け、換気を徹底しております。
また、ANAグループは飛行機の機内環境について、「約3分で機内の空気がすべて入れ替わる」ことを発表しており、コロナ対策に向けた換気性能や換気システムを各社重要視しているように感じます。
窓開いてて、教室が寒い中テスト受けるのマジ地獄だったんだけど!
ペンギンは寒いところに強くあれよ・・・
新型コロナ感染症により、以前よりもその重要性を増した換気ですが、実は部屋の換気回数というのは計算で求めることが出来るのです。
そして、その回数を実際に計算で求める問題が、薬剤師国家試験で出題されたことがあるのです。
本記事では、実際に出題された国試の問題を通して、「換気」について理解を深めていただければと思います!
換気回数を求める問題(薬剤師国家試験第97回 問243(衛生))
まずはこちらの問題をご覧ください。
こんな問題出題されるの!?
薬剤師になるためには薬の知識だけじゃないんだなぁ
私自身、薬剤師免許を持っており、かつて国試の勉強をしておりましたが、薬剤師になるためにはこのような勉強もするということを知った時は驚いたことを今でも覚えています。
(下水の処理方法とか、衛生分野は特にそう思うことが多かった印象があります・・・私だけですかね?笑)
この問題、答えを出すだけであれば、初見で知識がない方でも単位換算をすることで何となく解けると思います。
【解答】
病室の容積:60 m2 × 3 m = 180 m3
必要換気回数 回/h :90 m3/h ÷ 180 m3 = 0.5 回
となり、答えは2の「0.5」となります。
必要換気回数には公式がある
普通に生活していたら考えないと思いますが、実は、必要な換気回数には公式が存在します。
それがこちらの式になります。
必要換気量(m3/h)÷ 容積(m3)
先ほどの問題に、こちらの式を当てはめることで、必要な換気回数を導出することが出来ます。
この換気回数、実は「建築基準法」に決められていることでもあるのです。
住宅の居室には、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が必要となります。
建築基準法より抜粋
すなわち、一般の住宅では、0.5回/h以上の換気回数が必要というわけです。(例外はあります)
今回の国試の問題は、この基準に沿って作成されたのかもしれません。
部屋のCO2濃度の目安は?
室内空気を衛生的に保つため、室内の二酸化炭素濃度は、建築衛生法、ビル管理法で0.1%(1,000 ppm)以下と定められています。
一般的に、この数値を超えないように換気量を調整します。
シックハウス症候群
換気をするその他の理由に、「シックハウス症候群」があります。
この言葉自体は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。
生活環境におけるシックハウス対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)より
家の部材に使用されている「ホルムアルデヒド」が原因となり、人体に様々な悪影響を及ぼすものとなります。
2003年には、シックハウス症候群対策の法改正を主な理由として、建築基準法が改正されております。法改正により、すべての新築の建築物は24時間換気システムの設置が義務化されております。
シックハウス症候群を防ぐためにも換気は有効となります。
・シックハウス症候群の原因:ホルムアルデヒド
→CO2濃度を下げ、シックハウス症候群を防ぐにも換気は重要
参考
先ほど紹介した問題の前には、実はこのような問題がありました。
ここまで見てきた知識が、選択肢1と4に出ております。
ちょっとした換気の知識からも、国試を解くことが出来るということです。(正解は3, 4です)
まとめ
以上、換気回数の目安やその周辺知識を紹介いたしました。
新型コロナ感染症対策としてはもちろん、二酸化炭素濃度やシックハウス症候群の観点からも、換気は重要であることが言えると思います。
また、薬学部の学生にとっては、このような知識も国家試験に出題されるということが分かったと思います。2020年冬に新型コロナ感染症が流行り始め、第107回薬剤師国家試験では、この辺の周辺知識が問われる可能性も低くないのではないかと思います。
暖房や冷房を付けていると、換気するのは少しためらわれますが、快適な住環境のために、2時間に1回程度は換気するようにしたいものですね。
それではまた!
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