【新型コロナワクチン】ファイザー製ワクチンの有効性・副作用について

薬学豆知識

現在、新型コロナワクチン接種が進められております。

本記事では、その接種順位や有効性・副作用について、厚生労働省から発表されているデータや添付文書をもとに見ていきたいと思います。

接種順位について

接種順位は下記のとおりとされております。
全額公費で賄われるため、接種にあたりインフルエンザワクチンのように自己負担は必要ありません。

  (1)医療従事者等
  (2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
  (3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
  (4)それ以外の方

ワクチン接種に関する詳細については、厚生労働省の以下のページをご参照ください。

新型コロナワクチンの接種についてのお知らせ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

有効性と副作用について

一番気になるのは、その有効性と副作用だと思います。

添付文書からその部分を見ていきましょう。

有効性

コミナティ筋注の添付文書より抜粋

まずは、その有効性についてです。
こちらは「コミナティ筋注」の添付文書から抜粋しております。

VE1:「SARS-CoV-2感染歴がない参加者での2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対する本剤の有効性」

VE2:「SARS-CoV-2感染歴の有無を問わない参加者での2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対する本剤の有効性」

すなわち、VE1とVE2の違いは、感染歴がない方だけを評価したか、それとも感染歴の有無を問わないか、ということです。

VE1では95.0%、VE2では94.6%となっております。
巷でよく聞く、発症予防効果が95%と言われる所以はここからきております。

ここで、ワクチンには期待される予防効果は3つあります。

  1. 感染予防
  2. 発症予防
  3. 重症化予防

上記の95%という値は、「発症予防」の効果となります。

「感染予防」については、そもそも臨床試験で実証するのは稀となります。
また、COVID-19においては、無症状の感染者が多数存在するため、実証はほぼ不可能と考えられます。

「重症化予防」については、治験期間中に重症化したのは10例、うち9例がプラセボ群、1例が実薬群であったことが公表されております。
日本感染症学会は、「重症者数が限られているため、重症化予防効果の評価は今後の課題」としております。(COVID-19ワクチンに関する提言(第1版) (kansensho.or.jpより)

安全性

コミナティ筋注の添付文書より抜粋

次に、ワクチン投与時の主な副反応が上図になります。
こちらも「コミナティ筋注」の添付文書から抜粋しております。

接種後の注射部位疼痛の発現頻度が高いですが、重症度が「高度(日常生活を妨げる)」以上として報告された自称の割合はワクチン接種回数が1回と2回でそれぞれ0.7%と0.9%です。

また、疲労・頭痛・筋肉痛等の全身性の副反応は高頻度(数十%以上)で発現しております。

ワクチンの有効性及び安全性に関する資料については、以下の「第17回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料3『ワクチンの有効性・安全性と副反応のとらえ方について』」に詳しく記載があります。
000680224.pdf (mhlw.go.jp)

また、分科会は2021年5月20日現在までに20回行われており、下記リンク先に資料も公開されております。
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

特例承認について

今回の承認は「特例承認」と呼ばれ、通常の承認よりも簡略的な手続き(承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等)で承認することを言います。

また、特例承認を受けるためには下記の条件が必要です。

①疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要
②当該医薬品の使用以外に適切な方法がない
③海外で販売等が認められている

今まで特例承認を受けた医薬品には、下記の新型インフルエンザに対するワクチン2種と、先日「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症」を効能・効果とした「レムデシビル」が挙げられます。

①「アレパンリックス(H1N1)筋注」
②「乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1“ノバルティス”筋注用」

その他 -製品名に込められた思い-

今回承認されたワクチンは「コミナティ」という製品名です。

コミナティ(英名:COMIRNATY)という製品名は、COVID-19、mRNA、コミュニティ(community)、免疫(immunity)という用語を組み合わせたもので、パンデミックにおいて、過去にない世界的な協業によって安全性を最優先に科学的な厳格さと効率性をもって開発されたmRNAワクチンであることを表しています。

ファイザーとBioNTech、COVID-19ワクチン『コミナティ筋注』の日本における製造販売承認を取得 (pfizer.co.jp)

商品名には他にもユニークなものが多数あります。

以下の記事でその一部を紹介しております。

以上の情報が、みなさまの参考になりましたら幸いです。

それではまた!

コメント

  1. […] 【新型コロナワクチン】「コミナティ」日本における製造販売承認を取得 … […]

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