ファイザー/BioNTech社製のCOVID-19ワクチンは「コミナティ筋注」という名前が付けられております。
「コミナティ」という製品名にはこんな由来があります。
コミナティ(英名:COMIRNATY)という製品名は、COVID-19、mRNA、コミュニティ(community)、免疫(immunity)という用語を組み合わせたもので、パンデミックにおいて、過去にない世界的な協業によって安全性を最優先に科学的な厳格さと効率性をもって開発されたmRNAワクチンであることを表しています。
ファイザーとBioNTech、COVID-19ワクチン『コミナティ筋注』の日本における製造販売承認を取得 (pfizer.co.jp)
このように、薬剤の製品名は開発者や会社の願いが込められていたり、造語となっているものが多く、中にはユニークなものもたくさんあります。
こういった製品名の元となったものは、インタビューフォーム(IF)内の「名称に関する項目」中の「名称の由来」に書かれていることが多いです。
例えば、抗アルツハイマー病薬のアリセプトのインタビューフォームにはこうあります。
Ariceptの[Ari]はアルツハイマーを、[cept]は(アセチルコリン)レセプターをイメージしている。アリセプトD錠のDは[Disintegration(崩壊)]の頭文字Dを示している
アリセプトのインタビューフォームより
「アリ」はアルツハイマーから来ているのかもという予想がたちますが、「セプト」には一見意味がないように思えてしまいます。
「セプト」がレセプターから来ているというのは、聞かないと気付かない人も多いのではないかと思います。
本記事では、私が今まで出会ってきた薬剤の中で、特にその名称の由来が印象的だったものを5つ紹介していきたいと思います!
1. ザイザル(Xyzal)
ザイザル(一般名:レボセチリジン)は抗アレルギー薬です。
最終・究極のアレルギー薬という意味を込めて、アルファベット最後のxyzとallergy(アレルギー)のalを組み合わせて、xyzal(ザイザル)と名付けられました。
個人的に、めちゃくちゃかっこいい名前の由来であると感じたため、印象に残っています。
2. ザファテック(Zafatek)
ザファテック(一般名:トレラグリプチン)は選択的DPP-4阻害薬、すなわち糖尿病の薬です。
ザファテックが開発されるまでは、経口糖尿病治療薬は一番長く効くものでも1日1回が最大でしたが、ザファテックは血中半減期が長く、世界で初めてとなる1週間に1回の投与で済む製剤となりました。
このことから、The first technologyを由来とし、ザファテックと名付けられました。
こちらは、企業の自負が見て取れ、この新薬がその努力の結晶であることを感じました。
3. ロゼレム(Roserem)
ロゼレム(一般名:ラメルテオン)はメラトニン受容体アゴニスト、すなわち睡眠剤です。
この薬は、英語の綴りを見ると何となく想像が出来るかもしれません。
そう、薔薇の「Rose」とレム睡眠の「rem」からきております。
「健やかな眠りを取り戻し、ばら色の夢を見ましょう」との願いをこめて Rose REM から名づけられた。
「ロゼレム」インタビューフォームより
ばら色の夢を見ましょう、というのはめちゃくちゃオシャレじゃないでしょうか。
これを聞いたとき、オシャレすぎて薬剤名を一発で覚えました。笑
4. リカルボン(Recalbon)
リカルボン(一般名:ミノドロン酸)は骨粗鬆症治療薬です。
ん?骨粗鬆症治療薬ってことは、カルシウム?ボーン?ダジャレ?と思った方は勘がいいです。
その通りで、この薬剤名はカルシウムとボーンからきております。
カルシウム(calcium)量が回復(recover)し、骨(bone)が形成されるというところからきております。
このように、洒落が効いているものは覚えやすいですね。
5. リリカ(Lyrica)
リリカ(一般名:プレガバリン)は神経障害性疼痛・線維筋痛症に用いられる薬剤です。
初めて聞いたときは、女の子のような名前であると感じました。
しかし、こんなオシャレな由来があります。
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「リリカ」インタビューフォームより
「Lyric:叙情詩(Music)」、「Lyrical:叙情的な」を由来とする。
この由来のため、英語表記にした時の綴りは「Lylica」ではなく「Lyrica」になります。
他にも「セララ(一般名:エプレレノン)」も女の子のような名前に感じました。
こちらは、セレクティブ アルドステロン レセプター アンタゴニストに由来しております。
まとめ
上記に挙げた以外にも、面白い由来を持つ薬剤名はいろいろあります。
薬は種類が多く、覚えるのは大変ですが、名前の由来を知ることで暗記の一助になるのではないでしょうか。また、IFを読むことで、名前に込められた思いを知ることができ、よりその薬に愛着が湧くのではないでしょうか。
それではまた!
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