2021年2月20日・21日に、二日間にわたって第106回薬剤師国家試験が実施されました。
今回行われた第106回の国家試験より、新出題基準が適用されております。
新出題基準の詳細については、下記厚生労働省のページをご参照ください。
参照:Microsoft Word – 【161102】薬剤師国家試験出題基準 (mhlw.go.jp)
なんで私たちの年からなのよ!
そんなに怒らなくても・・・。
大学受験の時よりも勉強した、って方も多いのではないかと思います。
受験、お疲れさまでした。
まずはここまで頑張った自分を褒めてあげましょう。
今年度はコロナ禍ということもあり、例年通りにはいかないことも多く、みんなで集まって勉強したり、自習室やカフェで勉強したり出来ず苦労した、という学生もいるかと思います。
昨年から流行してる新型コロナウイルスですが、薬剤師国家試験にもそれを意識しているのではないかと考えらえる問題がいくつか出ていたので、紹介したいと思います。
(紹介する問題は私の独断と偏見によるものとなります)
問25(衛生)
指定感染症の治療・検査時に使用された医療用マスクを滅菌せずに廃棄する際の分類として、適切なのはどれか。1つ選べ。
1 産業廃棄物
第106回薬剤師国家試験 問25より
2 事業系一般廃棄物
3 感染性一般廃棄物
4 特別管理産業廃棄物
5 感染性産業廃棄物
答えは「3」の「感染性一般廃棄物」です。
この問題を解くためには、「廃棄物」の分別方法を知らないといけません。
まず、廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2つに大きく分けられます。
また、廃棄物の中には「感染性廃棄物」と呼ばれるものがあります。
これは、「医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物」と定義されています。
これらはその種類によって、「感染性一般廃棄物」と「感染性産業廃棄物」に分類されます。
「感染性一般廃棄物」には臓器、血液等の付着した脱脂綿・ガーゼ等が含まれます。
「感染性産業廃棄物」には血液や注射針等が含まれます。
「感染性廃棄物」の判断基準として、下記のような、感染症の種類の観点があります。
感染症の種類の観点
(1)感染症法の一類、二類、三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の治療、検査等に使用された後、排出されたもの
(2)感染症法の四類及び五類感染症の治療、検査等に使用された後、排出された医療器材、ディスポーザブル製品、衛生材料等(ただし、紙おむつについては、特定の感染症に係るもの等に限る。)
廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルより
今回の問題のように、マスクの捨て方というのも問題になるため、廃棄物の分類についても勉強しておく必要があります。
問169(薬理)
抗ウイルス薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 エムトリシタビンは、細胞内で三リン酸化体となり、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。
第106回薬剤師国家試験 問169より
2 ラルテグラビルは、HIVプロテアーゼを阻害する。
3 リバビリンは、細胞内で三リン酸化体となり、RNA依存性DNAポリメラーゼを阻害する。
4 ファビピラビルは、細胞内でリボシル三リン酸体となり、RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。
5 ボロキサビル マルボキシルは、体内で活性体に変換されて、キャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害する。
答えは「4, 5」となります。
このように、一般問題の薬理では、ファビピラビル(商品名:アビガン)の問題が出題されております。
アビガンは、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として名を挙げています。
しかし現時点では、2020年12月に有効性の判断が難しいとしてその承認を一度見送られております。
そこで、富士フイルムホールディングスは、4月にも国内で臨床試験(治験)を再び実施する方針を固めており、今後の動向が注目されております。
今回は出題されませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、レムデシビルは2020年5月に承認が下りております。
今後は、レムデシビルの作用機序やその使用方法等にフォーカスを当てた問題も出る可能性があるのではないかと思いました。
レムデシビル添付文書
まとめ
上記で挙げた2問のように、最近の動向に即したように思われる問題も出題されるということが言えると思います。
また、上記2問の他にも、問113(生物)には、リアルタイムPCR法の実験の問題も出ております。
問324-325にはウイルスに対する消毒薬に関する問題も出ており、それはこちらの記事でまとめておりますので、良ければこちらもご覧ください。
その他、新型コロナウイルス感染症とは関係ないですが、実践問題の問204-205には、NDMA混入の自主回収の問題なども出題されており、時事に関連すると思われる問題も出題されております。
このように、常に社会や医療に関するニュースにアンテナを張り、それに対する解決策等を考えていくことも、薬剤師に求められる力の一つであるように思いました。
それではまた!
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